Room01  

2012.5.25

自分らしく生きたいとがんばる“GIRL”たちの住まい

洋服好きな由紀子の部屋

美術監督 黒瀧きみえ

女性が直面する一大事──ファッション、恋愛、仕事、結婚、etc…。 ワーキング・ガール4人の生き方を、ユーモラスに、そして切実に描いた『ガール』。『60歳のラブレター』『神様のカルテ』を手掛けた深川栄洋監督の最新作です。見どころの一つが、ライフスタイルを反映させたそれぞれの部屋のつくり込み。リアリティがありつつも“生活感”からは距離を置いた絶妙な〈浮き具合〉を視覚化した、美術監督の黒瀧きみえさんにお話をお聞きしました。

〈ひとりファッションショー〉を楽しむ由紀子の部屋

香里奈さん演じる由紀子は横浜居住という設定で、実際にも綱島のマンションに手を加えて撮影しました。キーワードは〈混沌〉。監督から「ジャラジャラとなにかがあってほしい」とリクエストされました。そこで、間仕切りとして自在に曲げられるカーテンレールを天井につけて、鎖をつり下げました。よく出回っているおしゃれなプラスチックの玉暖簾(たまのれん)ではあまい感じになりすぎるので、採用したのはシルバーの鎖。裾が波形になるよう長さを変えたのがポイントです。
アクリルのわっかをアクセントにしていますが、これは由紀子の〈ひとりファッションショー〉で、洋服を掛けるフックとしても大活躍。実はどれも、ホームセンターですぐ手に入ります(笑)。壁にはポストカードのデコレーション。〈あますぎ〉にならないように、かわいいキャラクターの周りには、ほどよくぼやかすための色合いや風景を重ねています。カーテンとして使用した布は、カーテン仕立てにしていません。これは、ステージ衣装などの特殊な素材を扱うお店で手配しました。テロンと透けている風合いを生かそうと、二枚合わせたときの色の溶け具合を試して、薄いピンクと紫の生地を選びました。
備え付けのウォークインクローゼットは使用せず、「ベッドルーム全体がウォーキングクローゼット」という部屋づくりがなされている。
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#76(2012年6月号 4月18日発売)
『ガール』の美術コンセプトを語る黒瀧さんのインタビューを掲載中
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プロフィール

黒瀧きみえ

kurotaki kimie
神奈川県生まれ。劇団四季の美術部を経て、フリーの舞台美術家へ。やがて活動フィールドを拡げ、現在は映画界でも美術監督として活躍。おもな作品に『60歳のラブレター』(09・深川栄洋監督)、『曲がれ!スプーン』(09・本広克行監督)がある。
ムービー

『ガール』

監督/深川栄洋 原作/奥田英朗 脚本/篠崎絵里子 主題歌/西野カナ 出演/香里奈 麻生久美子 吉瀬美智子 板谷由夏 上地雄輔 要潤 林遣都 波瑠 加藤ローサ 向井理 檀れい 配給/東宝 (12/日本/124min)
29歳にして「女の子はいくつになってもお姫様」と信じてやまない由紀子(香里奈)。大手不動産会社に勤務する“デキる女”、聖子(麻生)。おしゃれも恋愛も面倒くさくなってきた、容子(吉瀬)。6歳の息子を持つシングルマザー、孝子(板谷)。生きづらさを感じながらも「自分らしく生きたい」とがんばる“GIRL”たちの言い分を、フェアに、活き活きと描く群像劇。5/26~全国東宝系で公開
©2012 “GIRL”Movie Project
『ガール』公式HP
https://twitter.com/girl_movie
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