天才サウンドクリエーター・秋(佐藤健)と歌が大好きな女子高生・理子(大原櫻子)が音楽業界の光と影に翻弄されながらも、互いに想いを寄せ合う恋愛模様を描いた人気少女漫画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』。監督に小泉徳宏、音楽プロデューサーに亀田誠治を迎えて映画化された同作では、秋の心情や個性を映し出すために、その住まいにはさまざまな仕掛けが施されている。美術監督の五辻圭さんはこの空間をどのようにつくり上げたのだろうか?
text by小竹亜紀
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インダストリアルデザインを取り入れた秋の住まい
コンクリート打ちっぱなしの倉庫のような空間につくられた主人公・秋(佐藤健)の部屋。ロケ地となったのは、月島にある写真撮影専用のスタジオだった。バルコニーの外には運河が見える気持ちのいい場所だ。
「秋の住まいは 仕切りをせず、開放的につくりました。スペースごとの違いを出すために、床の素材や色味は変えています。リビングは、目の細かいフローリングにしているのに対し、秋が作曲をする作業場は少し幅のある木材を使い、汚して雰囲気を出している。それは、外出中に曲を思いついた秋が慌てて部屋に走り込んできて、仕事に没頭するシーンがあることから。土足でも入って来られる様にしておきたかったんです」。
「秋の住まいは 仕切りをせず、開放的につくりました。スペースごとの違いを出すために、床の素材や色味は変えています。リビングは、目の細かいフローリングにしているのに対し、秋が作曲をする作業場は少し幅のある木材を使い、汚して雰囲気を出している。それは、外出中に曲を思いついた秋が慌てて部屋に走り込んできて、仕事に没頭するシーンがあることから。土足でも入って来られる様にしておきたかったんです」。
音楽に没頭する秋の生活に欠かせないのは、作曲のための機材。今作の音楽プロデューサー・亀田誠治氏の仕事場をモチーフに、すべて本格的なものを揃えた。「秋が父親に買ってもらって大事にしているベースは、原作と同じ“ミュージックマン・スティングレイ”を2本用意しました。幼少期のシーンもあるのでそれは新品、もう1本は時間の経過を感じさせるために汚しで味を出しました。もったいないですよね(笑)」。
インテリアにはインダストリアルデザインを取り入れ、趣味のラジコンを飾るスチール棚や、シンプルで無骨な照明などを上手に活かし、無機質でシャープな印象に仕上げた。
「仕事で成功しているという設定なので稼ぎはある。でも、秋はインテリアにお金をかけるようなタイプではない。そこで、20代前半のクリエイティブな仕事をしている男の子のセンスに適ったもので、ハイブランド過ぎないものを装飾の折戸(美由紀)さんに集めてもらいました」。
「仕事で成功しているという設定なので稼ぎはある。でも、秋はインテリアにお金をかけるようなタイプではない。そこで、20代前半のクリエイティブな仕事をしている男の子のセンスに適ったもので、ハイブランド過ぎないものを装飾の折戸(美由紀)さんに集めてもらいました」。
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#86『カノジョは嘘を愛しすぎてる』の美術について、五辻さんのインタビューを掲載。
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Profile
プロフィール

美術監督
五辻 圭
itsutsuji kei
70年東京都生まれ。93年、池谷仙克氏に師事しアシスタントを務める。97年フリーに転身し、種田陽平氏や山口修氏の助手に。小泉徳宏監督作品『ガチ・ボーイ』(08)で美術監督デビューを飾る。同監督が手がけたFUNKY MONKEY BABYSのMVにも参加。近作に『罪とか罰とか』(09)など。
Movie
映画情報

カノジョは嘘を愛しすぎてる
監督・脚本/小泉徳宏 脚本/吉田智子 原作/青木琴美 出演/佐藤健 三浦翔平 大原櫻子 窪田正孝 ほか 配給/東宝(13/日本/117min)
大人気ロックバンド“CRUDE PLAY”の元メンバーで、現在はサウンドクリエーターとして活躍している秋。意に沿わないことばかりの毎日にいらだちを隠しきれない。ある日、偶然出会った女子高生・小枝理子(大原)に気まぐれで声をかける。この出会いが、秋の人生を変えて行く……。同名人気コミックを映画化した青春ラブストーリー。12/14〜全国東宝系にて公開
©2013青木琴美・小学館/「カノジョは嘘を愛しすぎてる」製作委員会
カノジョは嘘を愛しすぎてる公式HP