妻を亡くして以来、絵本が描けなくなった父と、中学生のみどり。二人暮らしの親子のもとにやって来た新しいお母さんは中国人だった——。互いの文化に戸惑いながらもその“違い”を受け入れ、成長していく家族の姿を描く『空飛ぶ金魚と世界のひみつ』。父が再び絵本を書こうと決意するアトリエを中心に、親子にとって特別な場所を、どのようにつくり上げたのか、美術監督の山王堂史恵さんに聞いてみました。
ナチュラルで光溢れる空間に、“少年”をイメージした賑やかさをプラス

もともと和室と洋室が隣り合っていた2階部分を大改造。壁でる事」。細い道に昔ながらの家が並ぶ住宅街を、制作スタッフが歩き回り、広いバルコニーのある採光の良い一軒家を見つけた。
「アトリエは、親子にとってすごく特別な場所にしたかったんです。どこか懐かしく、暖かみのあるような。ただ、絵を描く作業場ではあるので、ごちゃごちゃした感じも出しつつ、明るくて広い印象を残したいと思いました。目線より高い家具があると圧迫感があるので、高さのある家具は置かないようにしたり、上から飾りを下げる事で奥行きを感じられるようにしたり。部屋の壁もそうですが、カーテンなども白を使って、広がって見えるように工夫しました」。
もうひとつ大切にしたのは、大きな空が眺められる場所があること。気持ちの良い屋根の上で、親子が語らうシーンは映画の中でも印象的に登場する。
「屋根に登れる家って少ないんですよ。このお家は、屋根の素材がもともと滑りにくくて強かったのも良かったです。地元の大工さんにお願いして、屋根へ登る階段もつくっていただいて、色も緑に塗りかえてもらいました。外観も緑色にしたのですが、それは主人公が“みどり”ちゃんだからなんです(笑)」。
「屋根に登れる家って少ないんですよ。このお家は、屋根の素材がもともと滑りにくくて強かったのも良かったです。地元の大工さんにお願いして、屋根へ登る階段もつくっていただいて、色も緑に塗りかえてもらいました。外観も緑色にしたのですが、それは主人公が“みどり”ちゃんだからなんです(笑)」。
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#84『空飛ぶ金魚と世界のひみつ』の美術について、山王堂さんのインタビューを掲載。
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Profile
プロフィール

美術監督
山王堂史恵
sanoudo fumie
87年東京都生まれ。08年、映像ディレクターとしてネイキッドに入社し、11年に美術の道へ。ショートフィルム『真綿』、MV・ALOHA『CHINA TOWN』、ROLLY『あなたに夢中』、テレビドラマのタイトルバックミニチュアなど、幅広いジャンルで活躍。今作が初の長編映画となる。
Movie
映画情報

空飛ぶ金魚と世界のひみつ
監督/林弘樹 脚本/栗山宗大 出演/優希美青 佐津川愛美 山野はるみ 原田佳奈 佐藤仁美 ダンカン 配給/NAKED(13/日本)中学生のみどりと、妻を亡くし絵本を描けなくなった作家の父。二人の家に、ある日新しい母親がやってくる。彼女は中国人だったのだ。文化の違いに戸惑う家族のため、父は再び絵本を描こうと決意するのだが……。九州先行公開中、9/28〜ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国公開
(c)2013APCC/FireWorks
空飛ぶ金魚と世界のひみつ公式HP