Room13

すーちゃん まいちゃん さわ子さん

2013.02.08

テーマカラーを活かした空間づくり

“緑”がアクセントの料理好きなすーちゃんの部屋

美術監督黒瀧きみえ

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益田ミリの人気四コマ漫画「すーちゃん」シリーズを映画化した『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』。悩みながらも毎日を一生懸命楽しむタイプの違う3人の女性が描かれている。それぞれの衣裳にはイメージカラーがあり、その色はキャラクターを象徴する色として美術にも取り入れられた。料理好きなすーちゃんのテーマカラーは、“緑”。色を活かした部屋づくりを、美術監督の黒瀧きみえさんに語ってもらいました。
text by 小竹亜紀

色のバランスが取れた、レトロでおしゃれな和空間

すーちゃんの最寄り駅は、東急東横線の学芸大学駅近辺にあるという設定。「おしゃれな街に実在しそうなイメージでつくりました。モチーフは“同潤会アパート”なんです」。撮影は、ハウススタジオの一部を改装して使用。「すーちゃんの部屋は、光や風が通る明るいイメージにしたかったので、ベランダの一部を改装して出っ張った形の玄関をつくり、その周りも窓にしたんです。そこにステンドグラスを差し込んで、かわいらしさも表現しました」。
家の外観もハウススタジオに手を加えて使用した。元々は濃いグレーだったという壁は、明るいグレーにして赤レンガを使って加工し、モダンすぎないレトロな雰囲気に仕上げている。壁のツタも“緑”のポイントに。
すーちゃんのテーマカラーは緑。その色を部屋にも上手に取り入れ、モダンすぎずかわいらしいレトロな和空間をつくり上げた。「部屋にテーマカラーを取り入れるときに気を付けたのは、面積の大きいものを1つ置いたら、ほかに大きな面積のものは取り入れないこと。たとえば、ベッドルームにはカーテン、真ん中の部屋にはテーブル下のラグで取り入れたので、あとは小物で使うだけにしました。部屋全体の印象や色のバランスを見ながら、テーマカラーを乱用しすぎないことが、色を活かした空間をつくるポイントだと思います」。
料理好きなすーちゃんのキャラクターが活かされたキッチンにも、壁や床のタイルで緑を取り入れた。「キッチンは空間を広く使えるよう工夫しました。頑張って手づくりしたのはスライド式のスパイスラック。コンパクトに収納でき、引き延ばすと部屋の仕切りにもなる使えるアイテムです」。
ひとり暮らしの狭い部屋を、様々な工夫を凝らし夢のある空間に。ベッドからキッチンの間の、一見廊下のような空間も小さなリビングに変身させた。和室用の透かし欄間をパーテーションに使って、上手に仕切りをつくっている。
映像カルチャーマガジン・ピクトアップ#81(2013年4月号 2月18日発売)『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』の美術について、黒瀧さんのインタビューを掲載。

Profile

プロフィール

美術監督

黒瀧きみえ

kurotaki kimie

神奈川県生まれ。劇団四季の美術部を経て、フリーの舞台美術家に転身。近年では、舞台美術だけではなく映画美術監督としても活躍している。おもな作品に『60歳のラブレター』(09・深川栄洋)、『曲がれ!スプーン』(09・本広克行)、『ガール』(12・深川栄洋)など 。『清須会議』(三谷幸喜)は11月公開。 黒瀧さんは『ガール』のお部屋でも登場!

Movie

映画情報

すーちゃん まいちゃん さわ子さん
すーちゃん まいちゃん さわ子さん 監督/御法川修 原作/益田ミリ 脚本/田中幸子 出演/柴咲コウ 真木よう子 寺島しのぶ 染谷将太 井浦新 配給/スールキートス(12/日本/106min) かつてのバイト仲間だったすーちゃん(柴咲)とまいちゃん(真木)とさわ子さん(寺島)は10数年経った今でも仲良し。それぞれ毎日を頑張って過ごしているけど、悩みは尽きないようで……。3/2~全国公開 (c)2012 映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』製作委員会
すーちゃん まいちゃん さわ子さん公式HP