暮らしのコト

満腹御礼 ご当地肉グルメの旅

小さい町のビッグな名物「メガわらじかつ丼」

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全国各地のウマい肉料理をお腹いっぱい食べ尽くしていく連載「満腹御礼 ご当地肉グルメの旅」。
今回やってきたのは埼玉県秩父郡小鹿野町です。

小鹿野町は、埼玉県西部に位置する秩父地域の中でもさらに西にある自然豊かな山間の町です。町のキャッチコピーは「花と歌舞伎と名水のまち おがの」。最近では、名峰「両神山」の麓にある日本有数の「ダリア園」が観光の名所となっており、日本の滝百選でもある「丸神の滝」、平成の名水百選の「毘沙門水」など水にまつわる名所も人気です。

また、近年では小鹿野町で「ウエルカムライダーズおがの」という運動を行っており、小鹿神社でバイクのお祓いを行ったり、協賛店舗でツーリング目的のライダーを歓迎していたりします。そのため、バイクでこの街を訪れる人も増えてます。

そして、全国的に評価も高く、かつ珍しい観光資源は、役者から裏方までその公演の全てを住民で執り行う「地歌舞伎」です。江戸時代中頃に始まったとされる伝統芸能で、町の催事としていまも受け継がれています。特に毎年4月の第3金・土曜日で行われる「小鹿神社例大祭小鹿野春祭り」で披露される歌舞伎は、祭りの華やかな雰囲気も同時に楽しめることから全国から観光客が訪れます。

交通安全の祈祷やバイクのお祓いも増えているという小鹿神社。

交通安全の祈祷やバイクのお祓いも増えているという小鹿神社。

タイムスリップしたような気分が味わえる小鹿野の町並みは、散策しても楽しい。

タイムスリップしたような気分が味わえる小鹿野の町並みは、散策しても楽しい。

今回は、そんな小鹿野に驚くべき大きさの名物肉グルメがあると聞いてやってきました。その名も「わらじかつ丼」! しかも今回訪れるお店のわらじかつは、そんじょそこらのものとは大きさのレベルが段違いだとか。期待で胸が高鳴ります。

今回お邪魔するのは、「焼肉レストラン東大門」さんです!

名前からも分かる通り焼肉屋さんなのですが、わらじかつ丼が評判を呼び、お客さんが全国から訪れるという人気店なんです。

表は精肉店、裏で焼肉店を営業。また最近、奥の別館で居酒屋もオープンしています。

表は精肉店、裏で焼肉店を営業。また最近、奥の別館で居酒屋もオープンしています。

「ウエルカムライダーズおがの」協賛店。多い時には30台ものバイクが並ぶことも。

「ウエルカムライダーズおがの」協賛店。多い時には30台ものバイクが並ぶことも。

店に入ると、まず店内に貼られた写真の多さに驚きます。壁一面に並んでいるのは、全国から東大門を訪れ、名物のわらじかつ丼を完食した人の写真です。みなさん一様に笑顔で、空の丼をカメラに向けていますね。早速わらじかつについて、店主の藤元章好さんにお話を聞いてみましょう。

ゆったりとしたテーブル席が並ぶ。奥には座敷席もあり。

ゆったりとしたテーブル席が並ぶ。奥には座敷席もあり。

名物メニューを食べた笑顔の人々の写真が壁一面にずらっと並んでいる。

名物メニューを食べた笑顔の人々の写真が壁一面にずらっと並んでいる。

藤元さん「わらじかつ丼は、今は秩父の名物になっていますが、発祥はここ小鹿野町で、大正4年創業の『安田屋』が生みの親と言われています。昔、そのお店に訪れたお客さんがそのカツの大きさを見て『わらじのようだね』と言ったことから、その名前になったと。わらじかつ丼は小鹿野の飲食店に広まり、その人気から秩父全体に広がっていきました」

歴史をお聞きしたところで、東大門自慢のわらじかつについて教えてください!

藤元さん「うちの名物メニューは『メガわらじかつ丼』です。もちろん普通のサイズのわらじかつ丼もあるのですが、お客さんの5人に1人はメガわらじかつ丼を注文しますね。最初は採算度外視のサービスとして、話題になればと始めたのですが、今やそれが店の名物、町の名物として定着しました」

早速、人々を虜にしたメガわらじかつ丼を作っていただきましょう!

メガわらじかつ用の肉は、切れ込みとタタキをよく入れることで揚げた後でも柔らかく仕上がる。

メガわらじかつ用の肉は、切れ込みとタタキをよく入れることで揚げた後でも柔らかく仕上がる。

藤元さん「うちはもともと肉屋なので、肉、特に豚肉にはこだわっています。その時期に質の良い国内産の豚を使用しています。また、パン粉は揚げた後にタレに漬けるため、食感を重視して生パン粉でなくカラーパン粉を使用しています」

大きな揚げ鍋に投入しますが、肉があまりに大きいので2枚入れれば鍋がいっぱいに!

大きな揚げ鍋に投入しますが、肉があまりに大きいので2枚入れれば鍋がいっぱいに!

肉を揚げている間に、米を器に盛ります。米だけで約2合の重量!

肉を揚げている間に、米を器に盛ります。米だけで約2合の重量!

揚げ油の中で、肉はジワジワと踊り段々と衣が美味しそうなきつね色に色づいていきます。

揚げ油の中で、肉はジワジワと踊り段々と衣が美味しそうなきつね色に色づいていきます。

揚げ上がった肉を、特製の醤油ベースのタレに入れ、サッと煮込みます。

揚げ上がった肉を、特製の醤油ベースのタレに入れ、サッと煮込みます。

そして、タレをご飯に回しかけながら大きな肉を2枚、ご飯のうえに盛り付けていきます。

そして、タレをご飯に回しかけながら大きな肉を2枚、ご飯のうえに盛り付けていきます。

「メガわらじかつ丼」はこのボリュームでなんと1500円。タレの照りがたまりません!!

「メガわらじかつ丼」はこのボリュームでなんと1500円。タレの照りがたまりません!!

通常のわらじかつ丼(850円)と比べるとこの大きさの違い。約2.5倍のボリュームです。

通常のわらじかつ丼(850円)と比べるとこの大きさの違い。約2.5倍のボリュームです。

目の前に置かれるとそのボリュームに圧倒されます。器から大きくはみ出した巨大な2枚のカツの存在感は、すごいの一言です。カツ、ごはんを合わせた総重量はなんと1.4キロ! 器を持ち上げるとずっしりとした重さが腕に伝わります。このボリュームで、しかもシェアしても、食べ残したものを持ち帰ってもOKで、1500円という良心的な価格にも驚いてしまいます。

湯気とともに立ち上る、特製ダレの香りがたまりません! ひと口かじりついてみると、まずお肉の柔らかさに驚きます。簡単に噛み切れるほどです。揚げる前にしっかりと手間をかけて下処理し、揚げ時間もタレで煮込む時間を計算して短めにしているおかげだとか。

タレで煮込んであるのに衣はサクサクしていて、カツの醍醐味である衣の食感もしっかりと楽しめます。

食べやすい厚みの肉とサクサクの衣が好相性で、大きさを忘れてどんどん食べ進められます。

食べやすい厚みの肉とサクサクの衣が好相性で、大きさを忘れてどんどん食べ進められます。

なにより、このカツの美味しさは特製タレのクオリティにあります。日本人なら誰しも好きな醤油ベースの甘辛いタレが、しっかりとカツ全体に染み渡っていて、どこをかじっても味にブレがありません。甘じょっぱい味とこだわりの豚肉から溢れる甘い油が口の中で混じり合い、山盛りのご飯との相性は抜群です。

丼ものの醍醐味の一つと言っても過言ではない「タレの染み込んだご飯」も秀逸!

丼ものの醍醐味の一つと言っても過言ではない「タレの染み込んだご飯」も秀逸!

勢いよく食べ始めたのはいいものの、さすがに総重量1.4キロです。メガの名は伊達ではありません。それでも、こちらのメガわらじかつ丼は食べきれない場合、パックに詰めて持ち帰ることができるので安心を。お店のちょっとした気遣いも嬉しいところですね。

そんなメガわらじかつ丼、観光やツーリングに訪れた一見さんはもちろん、地元の常連さんにも愛されていますが、最近では、噂を聞きつけ新しいお客さんが増えてきたとか。

藤元さん「テレビなどで紹介されてお客さんが一時的に増えるということは、これまでも何度もありましたが、最近では、お客さんがSNSにメガわらじかつ丼の写真をアップするようになって、友人のSNSを見て来たというお客さんが増えました。ボリュームがあるメニューなので男性の注文が多かったのですが、SNSの影響で女性のお客様も増えてうれしいかぎりです。これからもこの味を守っていくので、小鹿野の観光と合わせて全国から来ていただけるとうれしですね」

SNSでのアップを想定した、こんなアイテムも準備されていました!

SNSでのアップを想定した、こんなアイテムも準備されていました!

小鹿野町では、キャッチコピー通り年間を通して様々な野山の花を楽しむことができ、これからは山々の紅葉も見頃を迎えます。また秩父地域は祭事も多く、今年の12月10・11日には飯田八幡神社で埼玉県指定無形文化財の「鉄砲まつり」が行われます。

都会からは少し離れた場所にありますが、だからこそ自然が豊かに残り、伝統が今も受け継がれています。そしてなによりも、おいしい「わらじかつ丼」が待っています。ぜひ少し足を伸ばして、素晴らしい景色と絶品わらじかつ丼を味わってみてください。

  • 施設情報
    ●焼肉レストラン東大門
    住所:埼玉県秩父郡小鹿野町小鹿野2806
    電話:0494-75-0424
    営業時間:9:00~21:30(食事は11:00から)、木曜定休

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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