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全家庭に「宅配ボックス」があれば、再配達問題はどう変わる?

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(Jタウンネットより)

ワンクリックで購入し、あとは運ばれるのを待つだけ。忙しい現代人にとって、ネット通販は生活の一部となりつつある。しかし、平日は受け取るタイミングが合わず、後日再配達を頼むことも多く、ワンクリック以上の手間がかかることもしばしばだ。しかも帰宅時間の数分前に不在が入っていたりする。やりきれない。

それを解決するのが、家主が不在の場合でも配達物を保管できる宅配ボックスだが、マンションやアパート住まいだと設置することも難しく、日本での普及率はそこまで高くない。そんな中、福井県あわら市では宅配ボックスを設置する実験が行われ、様々な好影響を与えているという結果が発表された。

環境にも好影響

画像はパナソニック提供
画像はパナソニック提供

ネット通販の普及により、配達業者が扱う荷物量は大幅に増加し、それに伴って再配達の回数も増えた。

消費者側からすると、時間指定できるとはいえ2時間ほどの幅があるために行動を制限され、配達側からすると、労力や人件費の負担が大きく、ヤマト運輸労働組合が取り扱う荷物の総量規制を求めるなど、再配達による負担の増加は社会的にも大きな問題となっている。

そんな中、宅配ボックスを販売するパナソニックエコソリューションズと福井県あわら市の共同で、実証実験が行われた。福井県あわら市が進める「働く世帯応援プロジェクト」の一環として行われ、共働き世代を対象に、導入の影響を計測した。

この実験では、市内の106の共働き世帯がモニターとなり、再配達量、宅配業者の労働時間やCO2排出量への影響などが測定される。

実験期間は2016年11月から2017年3月31日までで、2017年2月24日に中間報告が発表されたのだが、その結果、再配達率(荷物総数に占める再配達の件数の割合)は49%から8%へ激減。宅配業者の労働時間は65.8時間削減されたという。

荷物サイズがボックスを超える場合や、冷蔵・冷凍の品には使えない、業者側が入れてくれなかった、という問題はあるものの、再配達の件数が40ポイント減少とは圧倒的な数字だ。

また、再配達削減により、約137.5?の二酸化炭素が削減できた計算になるという。

国内の普及率は1%未満

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パナソニックの担当者によると、

「日本国内の宅配ボックスの普及率は1%未満で、殆どの人が存在すら知らないのが現状です。新築マンションには設置されてはいますが、それでも全室分とはいかず、多くの場合は共同で使用することになります。戸建の場合ですと、普及率は更に下がります」

と、国内の宅配ボックスの現状について語った。

また、協力者からは、再配達の手間を省くこと以外にも、留守番の安全性も増すという予想外の反応も得られたという。

「子供だけで留守番している際、荷物を任せるのは不安だったが、それをしなくてもいいようになった、という反応や、耳の遠いお年寄りの人々も荷物の取りはぐれがなくなったという声もありました」

2017年に入り、日本政府も対策に乗り出し、宅配ボックスの普及に取り組むことを発表した。4月から設置費用を補助する制度を開始するなど、今後はより普及が進むと思われる。

また、今後普及が進み、ニーズが高まれば、冷蔵・冷凍が出来る高機能の宅配ボックスなども開発される可能性もあると語った。

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