街のコト

「遺伝子レベルで組み込まれてる」…東北人の芋煮にかける熱すぎる意気込み、そのルーツは?

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(Jタウンネットより)

東北人の「芋煮」にかける情熱が熱すぎる。画像はイメージです(ivvaさん撮影、flickrより)

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今年もまた、東北に芋煮の季節がやってきた。

他地域の人間にはあまり馴染みのない芋煮ではあるが、東北人にとっては「春のお花見、秋の芋煮会」と例えられるほどの一大イベントだ。一言で説明すれば、河川敷でサトイモを入れた鍋料理を囲む宴会……なのだが、東北人がこれに注ぐ情熱はちょっと凄まじいものがある。

東北各地のコンビニやスーパーが「芋煮の準備態勢」に入る

9月初旬あたりから、東北各地のコンビニやスーパーは芋煮の準備体制に入る。具体的にいえば、芋煮用の薪や食材セットの販売を開始するのだ。さらに、一部店舗では大鍋や食器など必要品の無料貸し出しを行う。

さらに山形には、芋煮を前提にした設計の河川敷まであるという。もちろん、シーズン期間中は敷地を無料で開放するのが一般的。まさに、地元が総力をあげて芋煮会の開催を全面的にバックアップし始めるのだ。

以下、現地のユーザーがツイッターに寄せた画像を見て頂きたい。

コンビニでも薪が売られてる(笑)
さすが山形! pic.twitter.com/YeoacLIXT0
– よーか@福島 (@happyswing1970) 2015, 9月 21

宮城の秋の風物詩。
コンビニの前に芋煮会用の薪。 pic.twitter.com/m7SC5qPbyz
– ほっぺ (@chika_hoppe) 2014, 10月 8

野外で食事、河川敷、宴会、若者グループにも人気――。芋煮にまつわるこのようなキーワードを安易に結び付けて、「あんまり無理しないで、普通にバーベキューやれば?笑」などといった冗談を飛ばしてはいけない。ネットには、上記のような発言をした人間に対し、東北人が総立ちで激怒したという衝撃的なエピソードも寄せられている。

さらに恐ろしいことに、同じ東北人の間でも、芋煮を巡る派閥争いは絶えないのだという。

「絶対に共存は無理だし、戦うことでしか分かり合えない」

東北のなかでも、とくに芋煮が盛んな地として知られる宮城県と山形県。しかし、両県民にとっての芋煮は全く違うものだ。宮城では豚肉を使った味噌ベースの芋煮が一般的だが、山形では牛肉を使った醤油ベースのものが定番とされている。

山形風の芋煮(H-shimoさん撮影、wikimedia commonsより)
山形風の芋煮(H-shimoさん撮影、wikimedia commonsより)

一部では「芋煮戦争」と揶揄されるほど、両県民の対立は根深い。どうやらお互いの芋煮を、以下のように認識しているらしい。

「宮城風もおいしいけど、これはサトイモの入った豚汁だよね」
「いやいや、山形風こそサトイモの入ったすき焼きみたいなものでしょ」

この芋煮戦争に対しては、一部の東北人からは「絶対に共存は無理だし、戦うことでしか分かり合えない」という声も寄せられている。ツイッターを見ても、両県民とみられるユーザーが以下のように意見を戦わせている。

山形はスキヤキ、宮城は豚汁でどちらも美味しいと思うのですよ。
ただし芋煮は豚肉と味噌一択
– ikusei (@ikusei0227) 2015, 9月 21

基本的に、宮城の芋煮を「はぁ?何その豚汁www」ってケンカ売って「真の芋煮を見せてやる!」って戦争に勝手に着火してるのは山形だよねと話したりするけど、それを止めることはできません
遺伝子レベルで組み込まれてる
– ルミコ (@r_mk01) 2015, 9月 21

芋煮で戦なんて…おいしければいいじゃん?なんて思ってた宮城人ですけど山形の芋煮の肉が牛肉と知ってありえない、豚だろうが!!?(法螺貝の音ブオオー)ってなったことがある
– んご (@hannaringo) 2015, 9月 15

山形の芋煮である醤油味も宮城の味噌味も大好き。だけれどね、上位互換つってさ、醤油から味噌には行けるけれども逆は難しいんだ。カレー粉にはどちらも敵わんけれどね。
– katuwow (@katuwow) 2015, 9月 20

山形の芋煮に対して宮城から味噌を持ったテロリストとか潜入して泥沼の紛争を繰り広げてもらいたいね
– タイニ・キー (@fazz0611) 2015, 9月 19

そのほかにも、秋田では「鶏すき風で、具材にきりたんぽ」、福島では「味噌と醤油をブレンド」、三陸地方では「具材に魚を入れる寄せ鍋風」など、芋煮のスタイルは東北各地で千差万別だ。

ちなみに、現在の芋煮会のルーツは江戸時代まで遡るという。芋煮会が東北地方限定で定着した理由には、温度が低すぎると腐敗するサトイモの特性がある。つまり、関東以南に比べて気温の低い東北地方では、秋に収穫したサトイモを厳冬期前に食べきらなくてはならなかった。そこで、サトイモを一気に消費できる芋煮会の原型が農村を中心に行われるようになったそうだ。

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