(ライター:山谷 剛史)
広東省の広州で家探しをすることになった。広州といえば北京、上海に続く経済が発達した地域であり、「食は広州にあり」という言葉で知られる。広東料理は日本人にとっても薄味で口に合うので住みやすい地域といえるのだが、今回の家探しは、広州ならではの事情で苦労した。
まず賃貸住宅が少ない。住宅投資はもうかるという風潮の中で、貸すなら転売するほうが割が良いという認識が強い土地柄。加えて外国人に厳しい。広州にはこの10 年くらい、外国人が増えてきており、一部外国人が多く住むエリアで犯罪が目立っている。そうしたことが影響しているとみられ、家主ともなれば、家賃の踏倒しや、習慣の違いなどによる住民トラブルなどで、とにかく外国人には貸したくないという人も多い。そうした中、幸いなことに過去に日本人に積極的に貸していた大家が見つかった。借りた部屋は、かつて公務員などに均等に安価で割り振られた築20年程度の住宅で、当時そうしてマイホームを手に入れた人たちは、郊外の新築の高層マンションに引っ越して賃貸か売りに出しているのだとか。
一方、広州には、北京や上海に比べれば家賃が安いというありがたい点もある。築古で良いなら日本円で5万円もあれば、2LDKクラスの賃貸住宅を借りることができる。といっても、本来なら単身で住む場合はワンルームや1LDKを探したいところだが、中国人は家族で住むか、何人かでシェアして住むというのが習慣となっているため、これがなかなかない。これを、1人だけで広々とした部屋に住めると考えるか、大きな部屋を持て余すと考えるか、それは住む人次第といえる。
山谷 剛史(やまや・たけし)
NNA所属。中国アジアITライターとしても活躍。IT誌やトレンド誌など連載多数。著書に「中国のインターネット史」など