
和傘は、主に竹と和紙、木といった自然素材から作られている。
材料となる竹骨、和紙、木部品、金具などはそれぞれ熟練した専門の職人によって作られ、和傘職人はそれら材料を揃え、数十以上の複雑な工程を経て1本の和傘を作り上げる。傘の種類によって工程は多少異なるが、一般的に材料の準備から完成までには、数週間から数ヶ月の月日を要する。
和傘の製作は全て手作業で行われる。
まず「下事(したご)」と呼ばれる骨組み作りから始まる。次に、型紙に合わせて和紙を数十枚に裁断し、和傘作りの要となる「和紙張り」を行い、細かく分けた部位ごとに和紙を張っていく。乾燥をさせたのち、和紙に折り目を付けて折り畳む「姿付け」を行い、傘を開閉できるようにする。そして、塗料や防水用の油を引き、天日に数週間干し、仕上げに、糸飾りや金属製のハジキ、石突、かっぱ等を取り付けて完成となる。
和傘作りは、竹も和紙も自然の素材ゆえ、同じ条件のものは二つとないため扱いが大変難しく、また、工程の一つひとつに高度な専門技術と、職人ならではの勘と繊細な感覚が必要とされる。和傘の持つ、日本ならではの“美のこだわり”と“匠の技”は、優れた職人たちの手によって伝えられ、受け継がれている。

和傘は、平安時代に中国から伝わったものが原型といわれ、その当時の傘は開いたままで閉じることができないものだった。その後、日本の伝統文化や伝統芸能と深く結びつくことで、開閉できるように改良されるなどの独自の進化を遂げた。
一般的な雨具として広く使われるようになったのは、江戸時代中期以降のことで、最盛期には日本全国で年間1千万本以上も生産されていた。しかし、洋傘の普及とともに、日常の雨具として使われることが少なくなり、和傘職人の数も減少していった。
だが、和傘は日本の伝統行事や茶事などには欠かすことができないものであり、日本文化を象徴するものとして、今も重要な役割を果たし続けている。
「和傘」には様々な種類があり、その用途は多岐にわたっている。
代表的なものには、細見で上品な『蛇の目傘』。日常使いの『番傘』といった雨傘がある。
他にも茶道やディスプレイ等で主に日よけとして使用される大傘の「野点(のだて)傘」や、舞踊などに使われる小ぶりの『舞傘』などがある。
「和傘」と「洋傘」の大きな違いは、骨の数にある。「洋傘」は通常8本であるのに対し、「和傘」は30〜70本と非常に多くなっている。これは、細く割った多くの竹骨で和紙を支えるようにして開くためで、開いた時のシルエットも洋傘と違い、末広がりに真っ直ぐに広がる。
また、生地の畳み方も異なる。洋傘は生地を骨の外側に巻きつけるように畳むのに対し、和傘は生地が骨の内側に畳みこまれ、まるで1本の竹の姿になることも大きな特徴である。
“ロクロ”と呼ばれる木製の部品に一本ずつ竹骨を繋ぎ、傘を開閉する骨組みを作る工程。和傘の骨は均等に割った一本の竹からできており、割った通りの順番で竹骨を糸で繋いで組み立てる。その精巧な作りは見事で、閉じると、あたかも元の一本の竹のように見える。
傘作りの肝となる作業。中置、軒、胴、蓑、から巻き、頭包み、手元など、部位に合わせて裁断した和紙を細かく張り分ける。和紙は、気温や湿度によっても柔軟性が微妙に異なるので、その時々の状態を見極めて張っていかなければならない。中でも大部分を占める胴の部分に施す「胴張り」は重要な工程であり、少しの歪みが生じるだけで仕上がりに大きな影響を与えるため、職人としてはもっとも集中力が必要とされる作業といわれている。
和紙張りを施した傘を乾かし、和紙に折り目を付けて畳み込んでいく工程。和紙は一度折り目をつけるとやり直しがきかないため、慎重に作業が進められる。
和傘は生地が内側に畳みこまれる仕組みゆえに、特有の“閉じても美しい”シルエットを生み出す。閉じると1本の竹のように見えるのは、職人の手で一枚一枚丁寧に和紙が折り畳まれているからなのである。