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#077 石見神楽 奉納神楽の舞台裏 〜若者たちがつなぐ伝統の舞〜

石見神楽

Iwamikagura

大都神楽団

Otsukaguradan

プロフィール

島根県西部、石見地方の伝統芸能「石見神楽」。石見神楽が盛んな江津市の神楽団。石見地方だけで130ある神楽団の中でも新しい団体。面師の惠木さん(#75「石見神楽 面師」で紹介)と衣裳刺繍職人の大畑さん(#76「石見神楽衣裳刺繍職人」で紹介)が、「石見神楽で新しい表現がしたい」と友人たちと立ち上げた。
大都という名前には、「神楽を舞った場所が大きく都のように発展していくように」との願いが込められている。現在、神社の秋祭り(例大祭)、神楽大会、各種イベントなどで活躍している。

石見神楽 奉納神楽の舞台裏 〜若者たちがつなぐ伝統の舞〜

これまで、面師(#75)、衣裳刺繍職人(#76)と紹介してきた「石見神楽」を締めくくる〜第3弾奉納神楽編〜。神々に捧げる華やかな舞。その舞台裏で繰り広げられる壮絶な光景。体力の限界まで舞い続けた彼らは立つことさえできない。
なぜ、彼らは石見神楽に魅了されるのか?
若者たちの神楽にかける情熱、伝統を受け継ぐ誇り・・・、奉納神楽の裏側に迫る。

郷土に根付いた秋祭り「奉納神楽」

石見神楽の起源は定かではないが、室町時代後期には行われていたと伝えられている。元々、五穀豊穣を祈願し神々に捧げる儀式として神職によって行われていたが、明治政府が「神職による舞を禁止」したことを機に土地の人々に受け継がれた。
秋祭りの季節を迎えた石見地方は神楽一色に染まり、夜を徹し神々に神楽が奉納される。

伝統の舞を受け継ぐ若者たち

石見神楽の特徴の一つに絢爛豪華な衣裳がある。しかし、時にその重さは30kgにも達する。その重い衣裳を着て、1時間にもおよぶ演目で舞い続ける。激しい舞は舞手の体力を容赦なく奪い、肉体の限界を超える。舞い終えた彼らは、肩で呼吸し、脚の感覚がなくなり、立つことさえできない。ある若者は言った。「舞っている間は、つらいより楽しい」。確かに、舞台の上ではつらい素振りを見せることはない。「自分たちが楽しんでこそ、神様を楽しませることができる」。神に捧げる伝統の舞は、こうした若者たちによって受け継がれてきた。華やかな舞の裏には、神楽を本気で楽しむ、誇り高き若者がいることを決して忘れてはならない。


取材を終えて・・・

石見神楽は「神話」を題材にした演目が多い。しかし、そこには先人たちの教えが隠されていることをこの取材を通して初めて知った。
「鍾馗」は無病息災、「人倫(塵輪)」は台風、「八岐大蛇」は洪水。知れば知るほど石見神楽の見方が変わり、楽しみ方が増えいった。そして、何より若者たちの神楽に対する情熱には驚かされた。舞台上では見ることのできない舞台裏での姿は、アスリートを想像させ、まるで運動部のよう。
一つの演目が終わるごとに感動は増し、知らず知らずのうちに彼らを応援していた。
伝統を受け継ぐ彼らの汗は、石見神楽の財産である、そう感じさせられた貴重な時間であった。