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#062 駿河竹千筋細工職人 大村 恵美

駿河竹千筋細工職人

Surugatakesensujizaiku-Shokunin

大村 恵美

Omura emi

プロフィール

1982年 静岡県生まれ

高校2年の時、静岡市内の伝統工芸を体験できる施設「駿府匠宿(すんぷたくみしゅく)」で、駿河竹千筋細工を初めて目にし、職人の道に進むことを決意する。高校を卒業した後、伝統工芸士の篠宮康博氏に弟子入り。以後、篠宮氏の元で13年間修業を続けている。現在は、自らが駿河竹千筋細工に出会った「駿府匠宿」で、竹細工のカルチャースクール講師としても活躍している。

「駿河竹千筋細工職人」になろうとした、きっかけは?

高校2年生の時、初めて「駿河竹千筋細工」の作品を見たのですが、思わず「きれい!」と、声が出てしまいました。
私の実家の裏山に竹はいくらでも生えていたので、幼い頃から見てはいたものの、特に気にかけはしませんでした。その竹からこんなに綺麗な作品ができるなんて、とても信じられませんでした。
見た瞬間に「出会っちゃった。これだっ!」と、竹千筋細工職人になることを直感的にその場で決めたほど、私にとって衝撃的な出会いだったのです。
そして、高校3年生の進路相談の時、先生に「竹千筋細工をやりたい!」と伝え、ご紹介いただいた静岡市の伝統工芸後継者支援制度を利用して、師匠(篠宮康博氏)に弟子入りすることができました。

職人になってみて感じたことは?

憧れの世界に入り、大好きな竹に触れることができて、毎日がワクワクの連続でした。
竹千筋細工は竹をなたで割ったり、曲げたり、丸ひごを作ったり、組み立てたりと、全ての作業を一人の職人が行うため、いつも「急がば回れ!」と思って作業に臨んでいます。
「どの工程も、一つひとつ丁寧に仕上げ、次の工程に進む」。
手を抜いてしまえば、次の工程で必ず苦労して、結局前の工程に戻ってやり直しすることになってしまうのです。
竹は素直な子どものようで、良いものを作ろうとすればきちんと答えてくれますし、手を抜けば機嫌が悪くなります。竹との会話は本当に楽しいですよ。竹の魅力は尽きませんね。

師匠の篠宮康博さんは、どんな方ですか?

一言で言うと、やさしい師匠です。師匠の作品には、そんな師匠の人柄が表れています。素朴で、優しい丸み、竹の温もりを感じることができます。私は、師匠の作品の大ファンなのです。そのような方から技術を学べていることは、本当に幸せです。
そんな師匠から言われて印象に残っていることがあります。
弟子入りしてから2、3年経った頃、「大村には、この仕事があっているね」と何気なく声をかけてくれました。その頃は、ただひたすら仕事を覚える毎日で、肩に力が入り過ぎていたのかもしれません。その何気ない一言で、不安や迷いが消えて、気持ちがスッと軽くなりました。
「私はこの世界に入って正解だったんだ」と確信することができ、それ以来、自然体で竹と向き合うことができていると思います。

師匠・篠宮康博 氏 インタビュー

大村さんは、どんな職人ですか?

今まで一度も弱音を吐いたことはありません。竹が「好きで好きでたまらない」というのがよくわかります。
大村の作品には、使い手への想いがこもっています。一人でも多くの人に手に取ってもらいたいですね。
今では弟子というよりも、並んで歩いているといった感じです。近い将来、伝統工芸士になってもらいたい、なれる技術は持っていると思います。私も負けてはいられませんね。

取材を終えて・・・

大村さんは、カルチャースクールで親ほど年の離れた方々に竹千筋細工を教えている。
楽しそうに作業をする生徒さんの横で、もっと楽しそうな彼女。生徒さんに「先生、テレビカメラに向かって恋人を募集しちゃえ!」とからかわれ、「じゃあ、イケメンでも募集してみようかな!」と答え大笑いをすると、教室中が優しい笑いに包まれた。
大好きな駿河竹千筋細工を通じて、たくさんの人との絆が深まっていく。彼女の溢れる笑顔の源は、ここにあるのかもしれない。
「竹千筋細工の魅力を、もっと多くの人に伝えたい」と話す彼女。ここにいる生徒さんは、竹千筋細工の魅力だけでなく、彼女にもすっかり魅了されているようだ。