不動産ハウ・ツー


住まいを買う

第7章 申込みから売買契約締結までの注意事項

申込みから売買契約まで

購入の申込み

申込証拠金について
申込証拠金は売買契約時に買主が支払う手付金の一部として充当されるようになっていますが、契約締結に至らなかった場合に買主に返還されるのかどうかをめぐって紛争が生ずるケースも起こっていますから次の点に注意してください。

●手付金との違い

(1)一つの見方は不動産業者が広告で「申込みの誘引」を行い、購入希望者が「申込み」をし、のちに不動産業者が「承諾」を与えると、申込みと承諾が合致し、直ちに契約が成立したものとされ、申込証拠金は売買契約の手付分割金としての位置付けをされる場合があります。ただし、この場合には申込証拠金の授受に先だって重要事項の説明と契約内容を証する書面の交付がなされていなければなりません。

(2)二つ目の見方は購入希望者の購入意思の真偽を確かめる交渉預り金として位置付けるものです。これは手付金とは基本的な性格が異なります。この形態の授受が実務では多いようです。
(1)の売買契約の手付分割金として位置付けるなら、申込みの撤回は手付放棄による契約解除となり返還は受けられません。(2)の交渉預り金ならば物件購入を断念しても返してもらえます。
宅建業法で手付金の分割受領は禁止していますから、通常は(2)のケースが多いと思いますが、申込証拠金を支払う場合には、申込みを撤回したときに返還されるかどうかを確認し、領収書の記載内容も十分確かめておくことです。

重要事項の説明

宅地建物取引士が説明する重要事項の項目の概要は以下の通りです。

(1)物件に関する事項
対象物件に関しては、登記された内容、法令に基づく制限の概要、私道負担、飲用水等の供給施設や排水施設の整備状況、青田売り物件については工事完了時における形状、構造等、について説明されます。

(2)取引き条件に関する事項
取引き条件に関しては、代金等以外に授受される金銭(手付金、登記費用等)、契約の解除に関する事項、損害賠償の予定違約金に関する事項、手付金等の保全措置の概要、支払金等の保全措置の有無、ローンの斡旋内容や不成立の場合の措置等重要な点が網羅されています。

(3)マンションの場合
マンションの場合には敷地の権利関係、規約の定め、専用使用権の内容、管理費修繕積立金の額や状況、管理の委託先等の事項が追加されます。

重要事項説明書のチェックはこちらのリストをお使いください。
マンション用(110KB)一戸建て用(108KB)  >>
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売買契約

契約書は、重要事項説明書と同じ項目について記載されている部分もありますが、大切な書類ですので不明点がある場合は、押印する前に必ず質問しましょう。特に注意すべき点についてのポイントは次のとおりです。

(1)住宅ローン特約
住宅ローンの利用を購入の前提条件とする場合、借入予定先の金融機関と事前に相談しますが、売買契約締結時点で確約が得られていないケースでは、「融資が不成立となったときは本契約を無条件で解約し、売主は受領金を無利息にて返還する」旨の特約条項を記載します。

(2)公簿売買か実測売買か
売買する土地の面積は、登記記録に記録されている面積(公簿面積)とするか、実際に測量した後の面積(実測面積)とするかを決めておきます。もし公簿面積とした場合は、実測した結果、土地の面積が登記されている面積より少なかったとしても、代金の減額請求はできません。

(3)危険負担
売買契約から引渡までの間に、震災など不慮の事故で損害が発生しても、特約をしていない場合は、買主は代金を支払わなければならないことになっています。そのため、通常は損害の程度により売主責任による補修または解約等ができるように特約しているのが一般的です。必ず確認しておくようにしてください。

(4)手付金等の保全措置
手付金を支払ったのにもかかわらず、売主が破産してしまい債権者が物件を差押さえてしまったような場合、買主は物件取得もできず、支払済みの手付金等も返還されないなど不測の損害を受けます。そこで宅建業法では一定の要件を満たした場合は、不動産会社に手付金等の保全措置を講じるよう義務づけています。

・保全の方法
保全措置には次の三つがあります。

  • 銀行等による保証委託契約
  • 保険事業者による保証保険契約
  • 指定保管機関による保管(完成物件のみ)

手付金の額が少額の場合等は、この保全措置を講じる義務は不動産会社にありません。また、工事完了前の売買の場合と完了後の売買の場合では、手付金の額により保全措置を講ずるか否かの差異があります。

・保全措置を講じなくていい場合

(1)取引物件である宅地や建物について買主への所有権移転登記がなされているようなとき

(2)受領しようとする手付金等の額が宅地造成や建物の工事の完了前の売買では5%以下で、かつ1,000万円以下のとき、完了後の場合で10%以下で、かつ1,000万円以下のとき
なお、工事が完成しているか否かについては、売買契約時において判断されます。工事の完了とは単に外観上の工事だけでなく、内装等の工事が完了しており、引渡しが可能な状態をいいます。つまり、物件が未完成のときに契約締結した売買については、物件完成後に支払われるものであっても、物件の引渡し前であれば、未完成物件の場合の措置を不動産会社はとらなければなりません。

(3)売主が宅地建物取引業者でないとき
中古物件の売買の場合、売主は個人の場合が多いですから不動産会社は媒介仲介)業務を行うため、保全措置が取られない場合があります。しかし、一定の要件を満たせば、不動産会社が加盟している保証協会(社団法人)が売主に代わって手付金を保証してくれる制度(手付金保証制度)が活用できます。

購入した物件に欠陥があった場合については、購入した物件に瑕疵があった場合の取り決めを参照してください。

売買契約書のチェックはこちらのリストをお使いください。
マンション用(107KB)一戸建て用(107KB)  >>
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契約は解除できるか

売買契約を解除する方法

(1)手付金放棄による契約の解除
手付金は売買契約の締結に際し、契約の履行に先立って買主が売主に支払う金銭です。民法では手付を解約手付として、買主は手付金を放棄し、売主はその倍額を返還すれば契約が解除できることになっています。これが、いわゆる「手付流し」とか「手付倍返し」といわれているものです。ただし、この契約の解除は、「相手方が契約の履行に着手したとき以降」は解除できないことになっています。履行の着手とはおおよそ、売主側は必要な書類を揃えたとき、買主側は残金を準備し買主に所有権移転登記を申請するよう催促したとき等です。不動産会社が売主となる場合は、宅建業法39条により手付放棄による解約を禁止する特約は無効になります。

(2)特約による契約の解除
住宅の住み替えのために新たな不動産を購入する場合には、現在の住居が売れることを前提に売買契約を締結します。また住宅ローンを利用する場合には、ローン契約が成立することを前提に契約を結びます。ところがこれらの前提が崩れ、期限までに現在の住居が売却できなかった場合やローン契約が不成立になってしまった場合は契約を解除する旨の解除特約をあらかじめ定めておけば、違約金条項を適用することなく解除できます。

(3)債務不履行による契約の解除
これは売主、買主いずれか一方に売買契約で定めた債務の不履行があった場合に生じます。不動産売買における債務不履行は、買主が約定日まで売買代金を支払わない場合と売主が物件の引渡し期日が到来しているのに引渡さない場合が該当します。売主側の債務不履行による契約解除の例としては、次のようなケースが考えられます。

  • 物件を第三者に売却して、登記も移転してしまった。
  • 期限になっても物件を引渡さなかった。
  • 売主の過失で、物件が焼失した。
クーリング・オフ制度

(1)クーリングオフ制度を利用するための条件
次の条件を全て満たす必要があります。

  • 物件の売主が宅地建物取引業者であること。つまり、宅地建物取引業者が媒介代理を行う物件には適用がありません。
  • 土地や建物の売買取引であること。賃貸マンションや賃貸オフィスの賃貸借契約には適用がありません。
  • 申込みや売買契約を締結した場所が不動産会社の店舗、事務所でないこと。購入者の自宅・勤務先、仮設小屋の案内所や喫茶店などで契約した場合はこの制度を活用するための条件を満たします。

(2)申込み解除の方法
(1)の条件を満たしていれば、契約の解除ができます。解除の意思表示を申込者が行う場合には、「書面」により通知しなければなりません。従ってこの書面に証拠力を持たせるためには、配達証明付内容証明郵便を使うことが適当です。

(3)申込みの解除ができなくなる場合
次のような場合はできなくなりますので、注意が必要です。

  • 解除の通知はクーリングオフ制度を利用できることを書面で知らされた日から8日以内に発送することが必要ですから9日以降に発送した場合は解除できません。
  • 履行関係が完了したとき、つまり、申込者が物件の引渡しを受け、かつ代金も全部支払ったときには当然のことながら適用されません。
  • 仮設の案内所であっても、専任の取引士のいるモデルルーム等の場合は解除できません。
  • 自宅や勤務先で契約を行った場合でも、申込者自らが申し出た場合は解除できません。

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